
薄毛・脱毛で悩まれている方々は、これまでに様々な方法で改善を試みてこられたかも知れません。薄毛・脱毛の原因は、毛髪育成に関係する毛根周辺の機能不全が殆どです。もし、毛髪の形成を促進するタンパク質の生成を人為的に操作できたら、人間はこの「薄毛・脱毛の悩み」から永遠に解放されるかも知れません。いえ、それどころか医療科学の発達は「薄毛・脱毛」を、発症以前の予防段階で完全にシャットアウトさせてしまう可能性も秘めているのです。
米国の科学者たちはイモリなどの特定の生物において組織の再生が可能であることを研究によって明らかにしてきました。2007年、米国ペンシルバニア大学の研究者たちは、実験動物のマウスにおける損傷の治癒を研究する経過の中で、本来は胎児期にだけ活動するとされる遺伝子が再活動することにより、毛包を再生することが可能であることを発見したのです。
この研究では、怪我が治癒の過程に入ると、それが胎児期の遺伝子が活性化する引き金となり、その怪我の損傷箇所に幹細胞が送り込まれて再生治癒させるという驚くべき結果に到達しました。そして同時に、皮膚は毛包を形成するのに必要なタンパク質に対する感受性を高めるようになっていたのです。
この研究結果は、タンパク質WNTを始め、毛髪形成を促進するその他のタンパク質の量の人為的操作を可能にさせるものを示唆するものです。(逆説的に言うと発毛の不要な部分については、発毛させないということも可能になるのです。)この研究者たちが到達した別の興味深い結論は、この再生は何の傷を残すこともなく達成できたという事です。
この再生操作を男性型脱毛症の治療プロセスに転用すれば、毛髪異常などの治療に使える可能性を多いに秘めていて、既にこの毛包の再生プロセスに関する特許申請が出されているのです。
米国Follica社では、この実験に関わった研究者たちで構成されるプロジェクトチームで、今も臨床実験は続けられています。近い将来、発毛に関する画期的な治療の登場が現実的になるかも知れないのです。